
マラソンにのぞむ際、大半のランナーは目標タイムやコンディションにあわせてペースを設定するでしょう。理想的なのは前半抑えて後半上げていく「ネガティブスプリット」。これがキマるとフィニッシュの爽快感は何倍にも高まります。
しかし頭ではわかっていても、いざ本番となるとなかなか上手くいかないのがマラソンの難しさであり、面白さでもあります。
とくに男性(おじさん)ランナーに中には、前半突っ込んで終盤ヨレヨレというパターンを繰り返している人が多いのではないでしょうか。
私もその一人で、毎回同じ失敗(失速レース)を繰り返しているにもかかわらず、どうしても前半にペースを抑えることができません。
冷静に振り返ってみると、レース中に感じているのは「焦り」と「欲」であることがわかっています。
レース中に設定ペースが少しでも遅れると途端に「焦り」が走りに影響し、次のラップはオーバーペースになってしまいます。
逆に設定ペースよりも速いことがわかったとき、心のどこかで安心している自分に気づきます。「設定ペースよりも早い分だけ貯金ができた」(大きな勘違い)といった具合に。そして、「もしかしてこのままのペースで行けるのではないか」と、「欲」が頭の中をよぎるのです。
それでもなんとか誘惑を振り払い設定ペースを守っても、その後少しでも遅れると途端に焦り、速ければ「貯金ができた」と勘違いしてしまう繰り返し。
これこそが失敗(失速)の大きな原因。「設定タイムより速い」のは貯金でもなんでもなく、むしろ後半に残しておくべき脚を先行して使っているに過ぎない、つまり「借金」以外の何ものでもないのです。
このように頭では理解しているつもりでも、いざ本番となると「前半のオーバーペース=貯金」という間違った意識になってしまうクセはなかなか抜けません。
私も含めて、マラソンにおける「貯金」と「借金」の考え方を根本から転換することが必要なランナーはたくさんいそうですね。