善光寺の山号「定額山」と書かれた仁王門をくぐり、大きな見どころの一つである山門(重要文化財)へ向かう。が、工事中だった・・・。
気を取り直して本堂へ。賽銭を投げ入れてまずはマラソンの完走祈願。
そしていよいよ、楽しみにしていた「お戒壇巡り」へ。これは・・・説明するのが面倒なので善光寺ホームページより引用・・・『瑠璃壇床下の真っ暗な回廊を巡り、中程に懸かるご本尊とつながれた極楽の錠前に触れ、秘仏のご本尊と結縁を果たし、往生の際、お迎えに来ていただけるという約束をいただく道場です。』・・・つまり本堂の床下のトンネルのどこかに「極楽の錠前」なるものがあり、それをみごと探し当てることができれば天国いけるぞ、という趣旨のものだ。本堂にはタダで入れるが、このお戒壇巡りだけは500円とられる。それでも長蛇の列だった。
結局30分ほど待たされ、いよいよ戒壇の中へ潜入。中からは小さな子どもの泣き叫ぶ声が聞こえる。入り口付近はまだかすかに光が差していたが、ほんの2メートルぐらい進んだだけで、視界は完璧な闇に閉ざされた。「闇に目が慣れる」というが、それは光がほんの少しでも存在している場合の話。100%の暗闇の中では、たとえ1時間だろうと24時間だろうと、ぜったいに目が慣れるなどということはない。いつまでたっても闇は闇だ。真空状態の部屋を作るのが困難なように、まったく光のない世界もそう簡単には作れない。真っ暗だと思っていても、どこかから微かに光が侵入しているものだ。
で、お戒壇。ウワサにたがわない暗闇っぷりだった。光が「無」なのだから当然、何も見えない。目の前に人がいるはずなのだが、まったくわからない。そもそも人の輪郭がぼんやり見えている時点でそれは真の暗闇ではないのだ。「極楽の錠前」は壁の右側にあるという。ひたすら右手で壁を探りつつ、左手で前方をケアしながら一歩一歩進んでいく。しかし混雑しているためか、なかなか前に進まない。もう10分ぐらい入っているような気がする。真の闇がこれほど重圧だとは思わなかった。けんめいに目を凝らしても闇。何をどうしようと闇・闇・闇。得体のしれない不安感も芽生えはじめる。暗闇パワー恐るべし。
すると、すぐ後ろを歩いていたおばちゃんが「もうアカン。おかしくなりそやわ〜」と言いはじめた。初めは冗談かと思っていたが、だんだん「アカン、アカンわあ〜!」と発作みたいな状態に。すかさず誰かが「目をつぶりなはれ!」とアドバイス。するとおばちゃんは落ち着いたのか、「ああ、あぶないとこやったわ〜」と安堵の表情。というか表情見えないけど。たしかに真の闇の中では、目を開いていようと閉じていようとまったく関係ないのである。へたに目を開けているから不安感が増大するのだ。
やがて前の方で、「あった!これやで、極楽の錠前あったでえ〜」とおじさんの雄叫びが。どうでもいいけど、関西方面のツアーの方々にまぎれてしまったようだ。私も慎重に壁をさぐっていく。すると何かが右手にふれた。どうやら金属のようだ。手探りでその全貌を確かめる。取っ手みたいになっている部分をつかみ、左右にがちゃがちゃと動かす。ああ、これで仏様とつながった・・・。
「極楽の錠前」に触れることに成功したら、もうお戒壇に用はない。速攻でトンネルを抜け地上(本堂)に上がる。スーッと目に入ってくる輝き。光がこれほどありがたいものだったとは。ありがたや〜。長野マラソンでそこそこのタイムが出せたのも、お戒壇で仏様と「結縁」を果たした故なのだろうか。なんだか今日のブログは変な方向に行きそうなのでこれにておしまい。合掌。