産經新聞によると10日、警視庁が東京都内全域で
自転車に対する一斉取り締まりを行ったという。このように自転車に限定した取り締まりは『全国でも初めての試みではないか』とのこと。少し前に警察庁が「自転車の取り締まりを強化していく」と宣言したときは「ついにやってくれるか」と喜んだものだが、その後、実際に取り締まりを行っているところやニュースを見たことがない。「ああ、やはりかけ声だけか」と思っていたところ、今回の都内全域一斉取り締まりだ。東京都(警視庁)が、全国自治体・警察に対してリーダーシップを見せつけたというところだろうか。
まいにち自転車に乗る者として、マナー違反の自転車はほんとうに腹立たしい。夜間に「ライトを点灯しているほうが少数派」という現状を警察庁はどのように考えているのだろうか。最近少なからず目にするのが「無灯火」「耳にイヤホン」「片手で携帯メール」という“極悪ハットトリック”自転車。ひとえに「自転車は車両」という意識の欠如からきている所業なのか。原付バイクで同じようなことをしでかしたら目立つことこの上ない。すぐに警察官が飛んでくるだろう。『自転車は車両という意識の薄さや交通マナーの悪化で、漫然と乗って重大な事故を起こすケースが多い』(警視庁)。そう、この「漫然と」というところが問題。この部分に「自転車はクルマと同じく人を殺しかねない凶器」という意識を植え付けなければならない。
自転車乗りとして、自転車が交通の悪役にされるのはなんとも悲しい。警視庁にできるんだから、他の道府県警察ができないことはない。全国の警察を束ねる警察庁には言葉だけじゃなく、行動で示してほしいものだ。クルマの取り締まりのように検問を設けて、無灯火や片手運転が即「赤切符=刑事罰」、つまりへたすりゃ前科になることを徹底的に喧伝してほしい。もちろん警察にとどまらず、学校や自治体、さらにはメーカー、販売店にも努力が求められる。今後、自転車はエコな乗り物として、ますます利用者が増えていくだろう。現場の警察官が躊躇する(即刑事罰になるから)赤切符ではなく、バンバン切れる青切符の自転車への適用を考えてもいいのではないか。さらには現行の防犯登録を発展させた、オートバイ並みの登録制度を整えるのも一考に値するのでは。
なによりも社会の意識が「自転車排斥」に傾くのがいちばん怖い。『自動車と違い保険制度が整っていないだけに、死亡や重傷事故を起こせば取り返しの付かない事態になる』(警視庁)。そのことを新聞広告やTVCMなどを使って、もっともっと社会にPRすべきだろう。