
愛知県ではこれまで、奥三河を筆頭に豊田市、瀬戸市でもツキノワグマが出没。平成29年は9件、平成30年は6件、令和元年は大幅増の27件、令和2年は22件の目撃情報が寄せられました。
そして先ごろ、昨年(令和3年)の集計が愛知県から発表。資料によると目撃情報は12件で前年の半数近く減少。ここ2〜3年の増加傾向に歯止めがかかりました。
エリア別では豊田市の山間部に集中。旧稲武町だけで9件もの目撃情報がありました。目撃時期が近いことから、同じ熊が特定のエリアを動き回っているものと推測されます。

昨年、2件の目撃情報が寄せられた瀬戸市はゼロでした。奥三河エリアも豊根村2件、設楽町1件にとどまりました。令和2年と令和3年のデータを比較すると、棲息域が狭まっていることがわかります。
さて、いうまでもなくこの数字はあくまでも目撃情報であり、上記のエリア以外にクマが棲息していないということではありませんのでご注意を。

いずれにしても、トレランなどで山に入る際、万が一のために何かしらの心構えと対策を講じておくことはけっして無駄ではないでしょう。愛知県が作成している「ツキノワグマ出没対応マニュアル」では、山でツキノワグマに遭遇しないために以下のポイントをあげています。
1. 山へ出かける前に、自然環境課のホームページでツキノワグマの出没情報や出没予想などを確認する。
2. 単独で山に入ることはできるだけ避け、複数で出かける。
3. 熊鈴などの鳴り物またはラジオを携帯し、音を出し続けることでツキノワグマに自分の存在を示す。
4. 風雨の強い日や沢沿いなどでは、ツキノワグマの臭覚・聴覚がじゅうぶん機能しないことがあるのでとくに注意。
5. 突然ツキノワグマと出合わないため、つねに前方に注意を払う。
6. 万一、ツキノワグマのフンや足跡を見つけたら引き返す。
以上のように用心を重ねたにもかかわらず、運悪く出遭ってしまったら・・・。
1. まず落ち着いて立ち止まること。
2. 写真を撮る、石を投げる、棒で突つく、大声で叫ぶなど早い動きや大きなアクションは避ける(「攻撃」と判断される)。
3. ツキノワグマが立ち去るのを待つか、距離が離れていれば動きを観察しながら少しずつ後退する。後退する場合は、目を見ながら静かに語りかけるのも有効。
4. 果物などツキノワグマのエサとなるような物は体から遠ざける。
5. ツキノワグマが近づいてくるような場合、荷物をツキノワグマとの間に投げ捨てて注意をそらしながら退避。
6. スプレーでの追い払いは至近距離に近づいてから噴射する必要があるため危険がともなう。
7. 「死んだふり」は効果なし。逆にツキノワグマの攻撃を誘うことがあるため危険。
さて、ツキノワグマは食べ物に対してとても執着的。トレラン中に使ったジェルのパッケージや食べ物のカスを捨てる(誤って落とすのも同罪)ことは、ツキノワグマを餌付けしていることと同義です。
ゴミの放置はマナーの問題以前に、他者を危険に巻き込む悪質な行為であると認識しましょう。
■元データはこちら→愛知県ツキノワグマ目撃情報 令和3年(PDFが開きます)