自転車通勤のカリスマ、「自転車ツーキニスト」の命名者でもある疋田智さん(某TV局部長)のメルマガに興味深いことが書かれていた。いわく、「自転車が歩道を走るとクルマとの接触事故の危険性がより高まる」のだとか。歩道上で自転車と歩行者がぶつかるのは分かるが、「歩道を走っているのにクルマと衝突」する危険が増えるというのは一体どういうことか?
理由はこうだ。自転車は歩行者と異なり、その一定しないスピードも相まってクルマのドライバーから非常に認識しづらい。このため交差点内で出合い頭に衝突するケースが多発しているのだという。クルマで右折または左折する際、いきなりスーッと視界に入ってきた自転車にドキッとした経験は誰でもお持ちだろう。この交差点上での出合い頭事故を防ぐにはどうすればいいか。簡単である。はじめから自転車が、法律で義務づけられているように車道(左端)を走行すればいいのだ。自転車が車道を走行していれば、クルマのドライバーは自転車の存在を予め認識することができる。最初から存在が分かっている(視界に入っている)自転車にぶつかることは、故意や操作ミス(自転車・クルマ双方)でない限りあり得ないだろう。
疋田さんのメルマガによると、たとえばアメリカやカナダの公的機関が出している「自転車マニュアル」には、「自転車の歩道通行は、自転車とクルマの衝突事故の重要な原因です」とか、「歩道は歩行者のものです。歩道では自転車を押して歩きなさい。歩道を走行すると、クルマとの衝突や、クルマにはねられる可能性が高いのです」といった記述が多いという。当然、日本でも自転車が歩道を走行することの危険性は分かっているはず。だからこそ「自転車は車道を走る」ように法律で定められているわけだから。
しかし、先日このブログでも取り上げたように「自転車の歩道走行解禁」、すなわち「自転車の車道締めだし」法案が国会に提出されようとしている。このまえ私は「子供や危険なケース限定ならいいよね」みたいな話をしたが、疋田氏によるとそれは、まんまとお上の術中にはまってしまっている状態なのだという。氏いわく、まずは子供限定で自転車の歩道走行を解禁して既成事実をつくり、やがては「自転車全面車道走行禁止」へとつなげる魂胆が見え隠れしているのだとか。
歩行者、自転車、その両者にとって危険極まりなく、クルマのドライバーも加害者となるリスクの高い「自転車の歩道走行」。それでも法案を提出しようというのだから、なんらかの利益を得る人がいるんだろうなきっと。
●疋田智さんのメルマガはこちらから。リンク先のページ右下に「記事一覧」というカレンダーがあるので、12月1日号から読んでみてください。一連の流れがよく理解できます。
2006年12月08日
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