
まずは前回の放送でつっこまれまくったスピード計測を再度実施。今回はスピードガンではなく、自転車の移動距離と時間から速度を導き出す手法にかえていました。その結果、歩道を走る自転車の平均速度は約16km/hということに(サンプル数は忘れました)。画面の奥から「ほら、これなら文句ないよね」という制作陣の声が聞こえてくるようでした。ううむ、ここまではツッコミどころがありません。
つぎに、「たとえ約16km/hといえども人にぶつかったら大変なことになる」、みたいなことをスタントマンを使って実験。「16km/hはちょっと速いので、歩道は徐行しましょう」と、ひとまずの結論に落ち着きます。まあ、歩行者の安全を考えるとそのとおりですね。・・・うーん、つっこめません。
では自転車で歩道を走るときの「徐行」っていったい何キロか。ここで登場した識者の発言でようやくツッコむことができました。彼いわく、その速度とは「7km/h〜10km/h」なんだそうです。それ、ないない!
時速7kmといえば「かなりゆっくりめのジョギング、あるいは早歩き」に匹敵します。これを自転車におきかえると、BMXライダーぐらいのテクニックがないとまっすぐ走ることすらおぼつかないでしょう。車体が激重なママチャリならなおさらです。
ようやく「ツッコミどころ発見」と思ったんですが・・・今回のココ調は抜かりありません!レポーターが時速7kmでの自転車走行をみずから実践し、識者がポロッと口走っちゃった徐行速度「7km/h」という数値のいい加減さを実証してみせたのです。案の定フラフラとした不安定な走りになり、「・・・かえって危ないかも」という正直な発言も飛び出しました。識者の人は全否定されてちょっと気の毒でしたが・・・。
全体的には、自転車の安全な車道左端走行を妨げる元凶(歩道にエスケープせざるを得ない要因)として「クルマの違法駐車が多すぎる現実」に触れるなど、おおむね公平かつ無難にまとめている印象でした。
ところが1点、どうしてもツッコミを入れたくなる箇所が!それは、横断歩道上に設けられた「自転車横断帯」の考え方。ココ調では「横断歩道に自転車横断帯がある場合は、そこを通らなければならない」という法解釈をそのまま鵜呑みにした番組づくりを展開していました。
つまり、「車道(左端)を通行する自転車が目の前の交差点を直進したい場合、交差点の手前で一端歩道に入り、自転車横断帯を通って再び車道に出る」ことが「正しい」という解釈を展開し、結論としていたのです。
このこと(自転車関連の法律の不備・矛盾など)こそ今、自転車の安全走行をおびやかす一因になっている現実をもっと掘り下げるべきだったと感じました。まず、「自転車横断帯を渡らなければならないがために一度歩道へ上がる」という行為。それはつまり、クルマのドライバーからすれば「今まで前方に見えていた自転車が視界から消える」ことに他なりません。
仮にそのクルマが左折するとき、さきほど視界から消えたはずの自転車と再び横断歩道上(の自転車横断帯)で出合うことになります。ドライバーから見れば、いきなり左側から自転車が現れることになるわけです。ここで注意を怠れば、いわゆる「出合い頭事故」の発生へとつながります。自転車が交差点を渡ったあと、再び車道に出る際のリスクも発生します。
では、もしも横断歩道上の自転車横断帯を渡らず(歩道に上がらず)にそのまま車道(左端)をまっすぐ走行していたとしたら。クルマからはつねに自転車が見えているわけですから、よほど悪質なドライバーでない限りケアしながら運転するでしょう。なにしろ目の前にずっと自転車が見えているのですから、「出合い頭」事故が起こりようがありません。(このへんのお話しは疋田智氏が『自転車の安全鉄則』の中で分かりやすく解説しています)
今回のココ調「自転車通勤特集第2弾」でツッコミたくなったのはその1点です。しかし、限られた時間の中で自転車に関する山積みの諸問題を取り上げるのは物理的に不可能。現場の制作スタッフの中には「そんなこと分かっているんだよ」と歯がゆく思っている人がいるかもしれませんが、批判やツッコミにめげず、継続的に自転車特集を組んで欲しいと思います。
たまには「健康」「経済性」「エコ」という自転車の素晴らしさをクローズアップする企画にも期待したいものです。
●関連トピック
めざましテレビの自転車スピード計測に疑問。
●関連カテゴリー
自転車でGo!
もしかしたら、議論を呼び起こすためにツッコミどころを散りばめている…ってことはないでしょうね。
「自転車乗りへのルール徹底と
クルマドライバーへの啓蒙」。
その両輪が同時に進まなければ、
日本の交通に明日は無いと思います。
行政や警察を動かすきっかけとして、
めざましテレビの取り組みは
それなりに意味があるような気がしました。
+Qのラン教室楽しそうですね。
名古屋はランニング不毛地帯なので、
ランイベントや関連ショップがたくさんある
東京がうらやましいです。
第2弾は第1弾の単なる「やり直し」でしたね。
べつにあそこまでスピード計測に
執着する必要はないのにと思いました。
それよりも、犯罪者並みの
夜間無灯火運転や携帯片手運転者を
取り上げて糾弾して欲しいです。
では、ランニングもがんばってください。